Aちゃんの音楽鑑賞



  Aちゃんは、特別支援学校に通う3年生の女の子です。
 こちらの言う簡単な言葉による指示を理解しますが、Aちゃんからの言葉の表出は今の
 ところは見られません。

  Aちゃんが大好きな活動は、トランポリンを飛ぶこと、それからピーナッツバルーン
 に乗って音楽にあわせて飛ぶことです。
 トランポリンにピーナッツバルーンをのせた上にまたがり、高く飛ぶことにも挑戦し始
 めました。
 大人がピアノを弾くと飛び始め、曲が終わると同時に飛ぶ事をストップし、もう1度、と手をたたいてリクエストします。
 
  Aちゃんはかなり「聴く力がある」と感じたので、童謡や子供向けの曲だけでなく、
 ベートーベンやバッハのメヌエットなどクラシック曲を弾いてみました。
 するとリズムに合わせて飛んでいます。

  そこでトランポリンを片付けて、聴くことに集中する時間を作ってみました。
 ピアノの横に立ったAちゃんは、モーツアルトのトルコ行進曲を集中して聞き、
 終わるともう一回やって、と手をたたいてリクエストしたのです。
 Aちゃんはその日、15分間の音楽鑑賞を集中して行ったのでした。

  この出来事は、わたしはAちゃんの中に、深い精神生活がある事を教えてくれまし
 た。言葉の達者な子どもの認知力を、高く見積り違いをすることが時々あるのです
 が、その反対に言葉の表出前の子どもの内面の深さに気付けないこともあるのです。
  子どもの発達を理解するのは難しく、奥が深く、そして楽しい、と感じさせてくれる
 出来事でした。
 

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